揚げ物調理についての注意

揚げ物調理を安全に楽しむために、役立つ情報をご紹介します。

- 揚げ物調理時の食材破裂
- コロッケの破裂を防ぐコツ
- 揚げ物調理時の蓋
- 揚げている最中はコンロから離れない

揚げ物調理時の食材破裂

じゃがいもをすり潰して丸めて揚げるポテトボールフライをはじめ、揚げ物料理は油で揚げている最中に破裂したという報告が複数寄せられています。

破裂報告のあった料理

  • ポテトボールフライ
  • コロッケ
  • ハッシュドポテト
  • ドーナツ
  • おからナゲット
  • イカフライ など

揚げ物は、材料の種類や大きさ、料理の種類などによって、上手に揚げる方法が異なります。 また、レシピによって材料や作り方が異なり、各ご家庭での調理環境も違うため、破裂する要因はさまざまです。

下記の点に注意し、よく確認した上で調理をしてください。

つくる時に注意したいこと

  • 水分量、揚げる直前の具材の温度、など
  • 油の温度、油の量、揚げる時間、一度に揚げる量、など

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「コロッケ」の破裂を防ぐコツ

ご家庭でもお馴染みの「コロッケ」。クックパッド内外で揚げている最中に破裂させてしまったという報告をよく見かけます。 破裂を防いで上手に揚げるコツを、東京家政大学大学院・客員教授の長尾慶子先生に教えてもらいました。

コロッケの破裂は、衣側と具材側の力のせめぎあいで起こる

加熱中に衣の付近、あるいは具材の温度が上昇し、それに伴って圧力が高まり、衣の強度を上回ることで破裂してしまいます。

破裂を防ぐコツ

● 具材の水分はしっかり飛ばす 具材の水分が多く残っていると、揚げたとき、薄い衣のすぐ下の水分が高温の蒸気になり、外に吹き出る時に破裂して、具材が衣から出てしまいます。 具材はしっかりと水分を飛ばし、粗熱をきちんと取り、余分な水分を残さないようにしましょう。

● 衣をつける前に具材は冷蔵庫などで冷ます 具材を低温にしておくことで、揚げ始めの2〜3分は中身の温度がほとんど上がらず、具材の膨張が少なくなります。 具材が高温になる前に強度のある揚げ衣をつくる事ができれば破裂を抑えられます。

● 衣をムラなく均一につける 衣の付きムラがあると、部分的に薄いところから破裂しやすくなるので、ムラなく付けましょう。

● 油の温度を適温に保つ 揚げるときにコロッケを多く入れすぎると、油の温度が急激に下がって適温に戻るまでの時間がかかり、破裂の原因や、コロッケが油っぽくなる原因になります。家庭でつくる場合は、180度の温度でコロッケ3個くらいが適量です。 また、衣に傷がつかぬよう、油へ入れた後はしばらく触らないことが大切です。

参考

クックパッドニュース:「破裂しないでおいしく揚げよう!「コロッケ」を上手に作るコツ」

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揚げ物調理時の蓋

揚げ物や揚げ焼き調理をしている時に、「油はねを防ぐために、蓋をしたい」と思ったことはありませんか。クックパッドにも「揚げ物調理時の蓋」の安全性についてご質問が寄せられています。 調べたところ、安全性に関する情報や知見を見つけることができなかったので、今回、NITE(ナイト) さん(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)にご協力をいただき、実験を行いました。

揚げ物調理時に蓋をする行為は注意が必要

今回の実験から、揚げ物調理時に蓋をすると危ないということがわかりました。 いくつか理由をご紹介します。

● 発火の恐れがある 油は、加熱され続けて発火温度(※1)を超えると発火する恐れがあり、発火には空気(酸素)が必要になります。 今回の実験では、蓋をしていた時は「フライパンや鍋の中には空気(酸素)が供給されない状態」が続いたので、発火温度に達しても発火はしませんでした。しかし、蓋をあけたとたんに発火することが確認できました。 蓋を開けたことで、一気に空気(酸素)が流れ込んだことにより発火したと考えられます。

(※1)火種がなくても自然に発火する温度。市販の植物油の場合は約370℃。

● 火傷の恐れがある 蓋をした状態で揚げ物調理をすると、時間の経過とともに蓋の裏に水蒸気がつきます。 今回の実験では、蓋をしていることで、蓋裏の水蒸気が水滴となって油の中に落ちる様子や、それによる小さな水蒸気爆発が確認できました。 もし、水蒸気爆発が蓋を開けた瞬間に起きてしまうと、油がご自身や周囲に飛び散って火傷をしてしまう可能性が考えられます。

● 危険察知がしにくい 油は加熱され続けると、白色の「油煙」が出てきます。その後、発火温度を超えて発火する恐れがあるので、少しでも早く「油煙」に気づいて対応することが大切です。 しかし、今回の実験で、蓋をしていると「油煙」が蓋の外に漏れにくいので異変に気づくのが遅くなってしまうと考えられます。

参考

クックパッドニュース:「油はね防止でやっていませんか?揚げ物をするときに「蓋」をすると危ない理由」

取材協力

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)

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揚げている最中はコンロから離れない

揚げ物をし始めたら、ガスコンロ・IHクッキングヒーターまたはIHコンロ(以下IH)いずれの場合でも、絶対にコンロから離れないようにしましょう。もし、どうしても離れないといけない場合は、少しの時間でも必ず火を消したりスイッチを切ったり、加熱を止めてから離れるようにしましょう。

少量の油では安全機能がうまく働かない場合がある

ガス・IHともに、製品ごとに揚げ物調理をする際の最低油量が決まっているのはご存知でしょうか。その量を満たしていない少量の油で揚げ物調理をすると、安全機能による温度制御が効きにくくなる場合があります。場合によっては発火の恐れもあります。 ご家庭で使用している製品の取扱説明書に、揚げ物調理時の注意点や最低油量が記載されています。取扱説明書を確認して、安全に料理を楽しみましょう。

油は過熱により発火する恐れがある

油は、加熱され続けて発火温度(※2)を超えると、発火する恐れがあります。 例えば、ガスコンロで天ぷら油を強火で加熱すると、約5〜10分程度で自然発火する温度(370℃以上)に達します。IHでも、少ない油量150ml(※3)で強火(揚げ物コースでなく手動コース)で加熱をすると、加熱から4〜6分程度で360℃以上に達しました。 現在は、ガスコンロもIHも安全機能がついていますが、上記のように安全機能がうまく働かない場合もあります。また、ガスコンロは、2008年10月1日から全口に調理油過熱防止装置の装着が義務化されましたが、規制以前の調理油過熱防止装置が付いていないコンロも多く使われています。よって、ガス・IHともに、調理中は目を離さないようにしましょう。

(※2)火種がなくても自然に発火する温度。市販の植物油の場合は約370℃。 (※3)26cmフライパン3mm程度の油量。

取材協力

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)
NITE公式Twitter(@nite_jp)
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